参事官の退職

「え？ なんで？」
思わず、声が出てしまった。

後山参事官が、警察を辞めた。

しつこいくらいの匂わせはあったので、
異動してしまうんだろうな…
とは思っていたが、
まさか辞めてしまうとは。


わたしが 彼を知ったのは、
追跡捜査係の沖田さんを通して、
だった。

その頃は、アナザーフェイスシリーズを
知らなかったから、
大友さんが撃たれた この1件は、
なんだか よく わからないまま
終わったのだけど。

ここで ようやく 事情がわかり、
もう一度「刑事の絆」を読み直したほど。


当初から 後山参事官の好感度は 高かったが、
アナザーフェイスシリーズを 読み進めるにつれて
ますます 彼は
わたしのお気に入り人物となっていった。


なにか やってくれそうな、
物事を大きく動かしてくれそうな、人。

人柄はもちろんのこと、
それを実行できるだけの地位に
手を掛けている。


いつか 後山参事官が主人公の1冊を…

いや、わたしが 知らないだけで、
もうすでに あるのかもしれない…

そんな期待をしていたのに。


転身先が転身先だけに、
もう登場することは ないかもしれない。

あーあ。
どうか、お元気で。
別の世界でのご活躍を、お祈り申し上げます。